Monthly Archives: 6月 2014

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ヨーヨースタジオリャマとヨーヨー考察ブログ「ヨーヨー力学」によるコラボレーションモデルが完成しました。

YoyoStudioLlama / Trick Motion

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直径:52mm
幅:44mm
重量:66.5g
ボディ:A7075超々ジュラルミン
リム:C3604快削黄銅(真鍮)
ベアリング:Cサイズ
レスポンス:リングサイズ
アクセル:中空βチタンアクセル
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「Trick Motion」とは医学用語における「代償動作」「ごまかし動作」を表します。
代償動作……ある動作が困難な時に別の動作、あるいは別の筋肉で補う動作

今作の場合、プレイヤーが行いにくい細かいトリック(チョップスティック系)から大きなトリック(インフルエント系)といった両極端な技術、能力が求められるトリックをヨーヨーが補うという意味を込めて名づけました。
ちなみに、今回のコラボ企画の両開発者(Tankiku,Mori)のイニシャルにもなぞらえられています。

細かい動きに対応したアンダーサイズの直径、ホップ系トリックを確実にこなすための44㎜のトラピーズ有効幅、アンダーサイズの回転力の弱さを補い、幅広機種特有の振動しやすさを防ぐために高比重ブラスリムをミッドシップ搭載。
また外観では見えませんが、リムはバランス部とモーメント部に重量を配分する断面形状となっています。これにより一般的なフルサイズ機種に劣らない、むしろ上回る慣性モーメント、スリープ力を実現しています。
エッジ部はローエッジかつ、ストリングの接触を漸増、漸減的に変化するように設定し、コントロール性を高めるための特殊な曲率を採用。
全体の形状はインバースラウンド形状に見受けられると思いますが、エッジ部が鋭角になりすぎないようストレート形状から始まり、徐々にインバース、ラウンドとつながっていく多段形状となり、手に違和感なく握れるよう各形状の境目、段差は徹底的に排除されています。インバース部は初期プロットにあった、Hプロファイルの段差を排除し、重量配分を外周かつ、内側に持っていくために採用しました。今機種ではこの形状をcontinuous H profile(コンテニュアスHプロファイル)と呼称しております。

意匠面では、真鍮リムに黒色酸化処理が施してあります。
皮脂や汗による急激な酸化は、指紋などの色ムラを伴い、また独特の不快なニオイを発しますが、安定した酸化皮膜を予め形成することで前述した不具合が起こりにくくなっています。
また、出荷時にはガンメタリックに近い色合いですが、使用するに従い酸化皮膜が少しずつ磨耗していき、元の真鍮地が酸化しながらだんだんと表面化し、全体的に色味が馴染んで自然な風合いのアンティークゴールドに変わっていきます。
使い込むことで、ご自分だけの逸品に仕上げていただくという楽しみも持ち合わせています。

ヨーヨー力学

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ダイエットは人間も工業製品も大変だ

本題に入る前に小話をひとつ。
突然ですが、趣味でロードバイクに乗っています。

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いま乗っているのは10万円ちょっとのエントリークラス。
40万円あたりからはミドルクラスとなり、70万円くらいからはハイエンドモデル。150万円を超える完成車も。
同じロードバイクなのにこの価格差、一体どの要素に注ぎ込まれているかというと、やはり「軽さ」になるのではないでしょうか。
上位車種ともなると、片手の小指だけで持ち上げることができるほど。

そしてロードバイクに限らず、モーターシーンなどにおいても、軽くしようとすればするほど、軽くするための「費用に対しての効果」は低くなっていきます。
重い部品は強くて当たり前。強いままに軽い部品は、軽ければ軽いほどに高価になります。

さて前述を踏まえた上で、ここから本題です。
通常、ヨーヨーを組む時に使用するアクセルはステンレス製で、軽量化のためにチタン製のものに換装している方も少なくないかと思います。
今回そのアクセルに、新規要素を盛り込みました。
チタン製アクセルの中心に貫通孔を空けた、中空チタンアクセルをリリースします。

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実重量について。
最近のフルメタルヨーヨーで多く採用されているM4×8mmサイズのアクセルを例にします。
ステンレス製の場合は0.48gなのに対して、チタンアクセルは0.29g。
規格品のチタンアクセルでも、同サイズのステンレスアクセル比では約60%の重量です。
そして、中空チタンアクセルの場合は、0.284g。
通常のチタンアクセルとの重量差は「0.006g」。数値で表すと大変少ないことこの上ないですが、比率では通常のチタンアクセルからさらに約2%の軽量化になっています。
中心の重量を0.006g減らすのと、リムに同重量を足すのとでは、 回転力に影響しないデッドウェイトを減らせる前者の方が、如実に効果が現れます。
中心が軽ければ軽いほど、回転モーメントが上がるので、ヨーヨーの性能を底上げするという観点においては、強度的にも加工技術的にも究極に近いものと自負しています。

また貫通孔は、副次的なメリットも持ち合わせています。
それが発揮されるのは、組付けで締め込みすぎてアクセルをねじ切ってしまった時。
従来の対処法は、ボディを切削加工機に取り付けて回転させ、アクセルの中心に穴を空け、その穴に工具を挿し入れてアクセルを回して外す流れになります。
その穴空けが、中空アクセルだと既に済んでいることになるのです。
有事の際に、わざわざ依頼せずともお手元にある精密ドライバなどを使って除去できてしまいます。

アクセル1本でプラスチックヨーヨーが買えてしまう価格になっておりますが、その費用対効果の低さが究極の証。
これと決めた愛機があるのであれば、1本奢ってみてはいかがでしょう。
わずか0.01g弱の軽量化がもたらす回転力の向上を、お手に取って体感してみてください。

近日中に発売のご案内をさせていただく予定となっております。